チームでスムーズに成果物を作っていくための共有・伝え方のコツ
エンジニアやデザイナーに関わらず専門職の場合、スキルを磨くことに一生懸命になる人も多いと思います。スキルは仕事をするうえで欠かせない武器ですが、実は「成果物の共有方法」のような仕事の仕方も重要だと、私自身痛感しています。
こういった内容はスキルアップのスクールや教材ではほとんど注目されません。特に駆け出しのフリーランスや業務委託として働き始めたばかりの人は、教わる機会がない可能性もあります。
私は幸いなことに、HeritageArrowの活動を通してこれらのスキルを学ぶことができました。
共有のコツを押さえておくことで、チームコミュニケーションが円滑になり、ひいては成果物の質を高めることにも繋がるため、ぜひ皆さんにも共有したいと思います。
成果物の共有・伝え方のコツ3選
早速、作った成果物をどのように共有したら良いか、私なりの3つのコツを紹介します。1つ1つは難しくないため、自分自身に当てはめながら読み進めてみてください。
成果物の共有・伝え方のコツ3選
- 制作概要を伝える
- レビューしてほしい箇所を明示する
- 制作者側(自分)のおすすめを添える

ここからは、それぞれの内容を詳しく説明していきます。
1. 制作概要を伝える
成果物を提出する際は、制作概要も併せて伝える必要があります。もしかしたら、「レビュアーは制作方針を把握しているはずなのに、改めて伝える必要はないのでは?」と感じるかもしれません。ですがもう少し踏み込んで考えると、概要を伝えるメリットが見えてきます。
例えばレビュアーは、あなたとの制作以外にも複数の制作を抱えていることは想像に難しくありません。従って、成果物が出てきたときに「これはどういう流れで作る話になったんだっけ?」と記憶を遡る必要が生じるかもしれません。チャットや打ち合わせ当時の資料を探す手間が発生したり、または記憶だけを頼りにフィードバックして何らかの矛盾が発生したりする可能性も考えられます。なので共有時は、成果物と別に制作概要のテキストを用意します。
例えば、「◯◯の方向性が良いと伺っていたので、配色はXX系を選びました」「△△をアピールしたい、というご要望に対して切り口の違う2案を制作しました。A案は…」と言った感じです。
制作概要を用意しておくことで、先方の疑問がその場で解消されたり、意図したレビューが返ってこないことを防げたりと、あなた自身に発生する追加の対応コストも未然に防げる可能性が高まります。
成果物を作った当事者とレビュアーとでは、温度感に差は基本あるものと考え、その溝を埋めるための工夫が必要です。また、打ち合わせ当時のチャットや議事録を補足資料として添付することもおすすめです。ここでは、制作概要や背景を要約してお伝えすることが有効だと押さえておきましょう。
2. レビューしてほしい箇所を明示する
成果物を提出する際、どの箇所を重点的に見てもらいたいか、というこちらの希望を伝えることも大切です。レビューしてほしいかどうかの判断は、次のような基準を参考にしてもらえたらと思います。
- 制作過程で判断に迷った箇所
- もとの依頼内容からプラスアルファで提案を加えた箇所
- 複数提案した場合、とりわけ違いを出した箇所など
制作過程で、判断に迷ったり、追って確認したいと思ったりすることはありませんか?また、実際手を動かしたからこそ「もっとこうしたら良さそう」、という当初すり合わせをしていた頃よりもいい案が浮かぶかもしれません。そういった箇所は、レビューしてもらいたい点として積極的に伝えてみてください。
レビュアーはいざ成果物を前にすると、「何を確認すれば良いんだっけ」と困ることもあります。レビュー観点を制作者側が示すことで、最低限どこを確認したら良いのかがクリアーになります。おまけとして、レビューを後回しにされなくて済むという利点も…。笑
またデザインなど複数案を提案するときは、「違いは見たら分かる」と高を括るのではなく、あえて言葉にすることも大切です。先述の通り、レビュアー側はあなたの制作中に別プロジェクトを進めていたり、成果物をどう評価したら良いか分からない場合もあります。それらを考慮すると、伝えるに越したことはないと考えるのが自然でしょう。
伝え方としては、1の制作概要を伝えた後で、「その上で特に見ていただきたき箇所は…」と以降箇条書きでまとめるとレビュアーも分かりやすいと思います。
3. 制作者側(自分)のおすすめを添える
デザインの場合、初稿で複数提案することもよくあります。制作者として、「自分自身はどれが良いと思っているか」も併せて伝えてみてください。
おすすめを伝えることで、どんな工夫や考えでその成果物に至ったかの温度感がさらに補足されます。レビュアー側も、限られた時間で建設的なレビューをしたいと考えているはずなので、できる限り制作側の意図や工夫を見逃したくないはずです。また純粋に、レビュー側は「制作者本人はどれが良いと思っているんだろう?」と参考にしたいケースもあると思います。
ここで大事なのは、あくまでレビュアーが建設的な意見を出しやすい状況を作るためであり、自分自身の主張を通すために伝えるわけではないということです。制作者本人の意見を添えることで、制作概要の理解促進にも寄与しますし、レビュアー側にない視点を提供できる可能性にも繋がります。
私が普段やる伝え方としては、「あくまでも私個人としては、A案が良いと思います。理由は…」と先述の1〜2を記述した最後に添えています。「理由は…」の部分ではデザイナー視点を取り入れたり、自分がユーザーだったらと仮定して意見を添えたりしています。
コツ3選が生まれた背景と活用事例
ここからは、コツが誕生した経緯と、これらのコツがどう仕事に役立っているのか、筆者自身の体験談を共有したいと思います。
HeritageArrowに参画した当初、私自身は成果物の共有方法など気にも留めていませんでした。
仕上がった達成感に嬉しくなりつつ、どんなレビューが返ってくるかという不安を抱えながら、一言「できました!」と言い放って提出していました。
そんな共有の仕方をしていたら、代表の的場から提出方法に関するアドバイスをもらいました。
このアドバイスをもらって初めて、成果物の提出は「ただ出すだけ」ではダメだということを学びました。先程ご紹介してきた3つのコツは、この後の過程でも複数アドバイスをもらったうえで学んだ知見です。
当初、先程お見せしたキャプチャのような共有方法をしていた私ですが、実践をとおして少しずつ「共有スキル」を磨いています。このことで、HeritageArrow以外の仕事でも成果に繋がった出来事がありました。
あるプロジェクトで完全非同期のデザインチームに参画した際、チームが発足したてで成果物の共有方法が確立しておらず、おのおののやり方でレビュアーに共有していました。
そんな中、ある時ミーティングで私の共有方法が「すごく分かりやすい」、と評価されたことがありました。その後、今までご紹介してきたコツがデザインチーム共通のレビュー依頼方法となったため、HeritageArrowで学んだことが外部でも活かせた瞬間がやってきました!
小さな出来事ですが、チーム自体がより良い方向へ変わるきっかけに寄与でき、自信にも繋がりました。
できることから始めていきましょう!
私自身、少し偉そうに記事としてご紹介していますが、実際はまだまだ共有方法を磨いている最中です。(ここだけの話し、「この前提出したあれ、コツの3つ目漏れていたな…」と反省しながら書いています)というわけで最後に、自戒も含め簡単に復習します!笑
「成果物の共有方法・伝え方のコツ」は次の3点です。
- 制作概要を伝える
- レビュー側は打ち合わせ内容を隅々まで覚えていないことを認識する
- レビューしてもらいたい箇所を明示する
- 何をどうコメントすべきか困る、という点をあらかじめ解消する
- 制作者側(自分)のおすすめを添える
- 制作者がどう思っているかも、レビュー観点の補足になる
成果物の共有方法は、1度だけ完璧にできればOKではなく、繰り返しやりながら身につけるものです。言い換えると、チャンスは何度でもあります^^
スムーズに成果物をつくるために、まずはできることから取り組んでいきましょう!