地域と技術をつなぐ場をつくる — 和歌山での継続イベント開催前夜

はじめに

「地元に何か貢献したい。でも、何をすればいいのかわからない。」

HeritageArrowとして、活動を始めたばかりの私はそんな風に感じていました。隙間時間に和歌山のことを調べて、状況把握を進めていました。和歌山県庁が約10年前に出した長期総合計画を確認し、その中の目標と現在の達成状況を見比べていました。未達の文字が並び、その全ての分野の土台となる情報技術の技術者として様々思うことはありました。

私は高校卒業後の進学で故郷である和歌山を離れて、15年ほど年数が経っていました。何かやりたいと言ってもすでに私は外の人であり、地元の状況もわかりません。東京に住んでいて、和歌山に住んでいる友人はほぼいませんでした。

今の私は、和歌山にいて、「ゆるい勉強会(和歌山)」という勉強会を月次で開催しています。もうすぐ連続開催が1年になります。この活動は、当時の私が、「まずは和歌山の状況を把握するところからだ」と考えて動き出したところから始まっています。

まず和歌山に行くところから

私が最初にやったことは、故郷である和歌山に行く回数を増やすことでした。もともと、私はお盆休みと年末年始に和歌山へ帰っていました。しかし、お盆休みと年末年始は、家族・親戚と過ごしたり、会っても同じく帰省した友人たちと会ったりして時間を過ごすことが多く、和歌山の状況を幅広く知っているかというとそうではありません。

それだけでは和歌山の状況についての理解が深まらないと思っていましたし、普段の日常の和歌山に触れることが必要だとも思っていました。もっと色んな人と話をしたい、同業者であったり、別の世代であったり、色んな視点から和歌山の状況を考えてみたい。そう思いました。そのために、まずは和歌山に行く回数を増やすことにしました。

最初の私のチャレンジは、年2回だった和歌山への訪問を年4回に増やすことです。和歌山の現地調査や様子見を名目として私は春と秋に和歌山に訪問することにしました。目的を考え、訪問先を調査・検討し、計画を立てて和歌山へと訪問回数を増やしました。

気になる場所を巡って話す

私が最初の方でやったことは、気になる場所を巡ってみることでした。和歌山で日常を過ごしてから15年も経てば、見知らぬ場所が増えています。そして、新しい施設のピックアップは東京で日常を過ごしていてもできます。

その当時、私の検索にヒットした記事の一つが以下です。私はこのプレスリリースを見て、和歌山で面白そうな場所が立ち上がっていると思いました。私は東京から和歌山に訪問する際、このコワーキングスペースに訪問することにしました。

そして、実際にコワーキングスペースに訪問し、運営者と色々会話させてもらいました。そこで、私はいくつかのことを伝えました。

  • 和歌山に何かしらの貢献がしたいと考えていること
  • とはいえ離れていた期間が長く、わからないことが多いこと
  • 色々な人の話が聞きたいこと。良いイベントがあれば参加したいし、見つからなければ自分で開催することも検討したいこと

すると、コワーキングスペースの運営会社の代表とお話しさせてもらえることになったり、ちょうどコワーキングスペース側もイベントを検討していた話を聞いたり、しました。オンラインでコミュニケーションを重ねながら「一緒に企画しましょう」という話になっていきました。大きな計画があったわけではなく、対話の中から自然と生まれた企画です。そうして、次のイベントが立ち上がっていきました。

やってみて見えてきたこと

そうして、最初は上記のイベントを開催しました。その結果、参加者からはポジティブな反応がありました。「やって良かった」「また参加したい」「メンバーを変えても面白そう」「次はこうしたい」。こうした声の中から、いくつかの共通した方向性が見えてきました。

  • ボーダーレスな対話の場 — 特定のコミュニティや業界、世代に閉じず、もっと自由に話ができる場所をつくりたい。
  • 挑戦へのハードルを下げる — 新しい働き方、新しい技術、新しい分野に興味を持ったときに、勉強や相談、試作に取りかかりやすい環境がほしい
  • 地域と外のつながり — 地元の人同士のつながりだけでなく、外の地域と行き来する人とのつながりも大切にしながら、これからを考えたい

もちろん課題もありました。例えば、告知や集客がうまくいかず、参加者の幅は限られていたこと。それでも、「こういう方向を目指す人が複数いる」とわかったこと自体が、一つの前進でした。その1ヶ月後、私は「ゆるい勉強会(和歌山)」のパイロット版イベントを開催しています。

ちなみに、このイベントは失敗してダメ元で前々日に開催を決定して告知しています。誰も来なくても「まあ急なイベントだったからしょうがない」と自分で言えるような予防線を貼ったともいえます。実際は、1名の方が急遽参加してくれ、それが今につながっています。やってみるもんです。

一人のモヤモヤから、一つの方向性へ

一人でモヤモヤと考えていた頃は、「自分はこう思っているけど、他の人はどうなんだろう?」という不安がありました。しかし、実際に人と話し、一緒に場をつくってみると、「少なくともこっちの方向は微妙で、こっちの方向の方が良さそうだ」という手触りが得られます。その手触りを頼りに次に進む方向を決められます。

完璧な計画を立ててから動くのではなく、小さく始めて、活動や対話の中から次の方向性を見つけていく。この活動方針は、HeritageArrowで大切にしている進め方であり、他の方にもお勧めしたい方法になっています。その後の活動にもつながる体験になっています。

HeritageArrowの活動につながるもの

HeritageArrowは「社会の最新技術を地方の産業へ展開する」というミッションを掲げています。この和歌山でのイベントは、そのミッションを体現する実践の一つでした。技術を一方的に届けるのではなく、まず地域の人と対話し、どんな状況なのか、何が求められているのかを一緒に考えていきたいですし、そこから信頼を築き、その先の具体的な取り組みへとつなげていきたいと考えてます。

HeritageArrowではバリューに「多様な視点を受け入れ、事業を共創する」「実践を重ね信頼を築く」を掲げています。これは、まさにこのような活動を形づくる考え方ともいえます。

おわりに

新しい活動は、壮大な計画から始まるものとは限りません。「何か貢献したい」という気持ちを持って実際に行動して、話を聞き、考え、次の行動に繋げる。そんな活動を繰り返すことで、見えてくるものがあると考えています。

私たちは、今後も個人の気持ちを大切にしながら活動を続けていきます。HeritageArrowの活動に興味を持った方は、ぜひ一度、イベントに参加してみてください。


この記事は、的場のブログ記事「和歌山である種の地域活性化イベントを開いた」(2024年4月公開)をもとに、KnowledgeHub向けに再構成したものです。

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