たたき台の添削で、私が見落としていた3つの視点

HeritageArrowの仕事に関わる中で、提案資料のたたき台を、代表の的場に添削してもらう機会がありました。 その過程で得た、資料作成と顧客への向き合い方に関する気づきを振り返ります。

どういう状況で何をしたか

今回依頼いただいたのは、既存システムの改修方針の検討支援です。私の役割は、的場が顧客に提案するための材料を整理することでした。

その中で改修方針のたたき台として、改修パターンを洗い出し、メリット・デメリットを整理しました。的場から「相手が選ばないであろうパターンも選択肢に加えてください」という話があり、それに沿って作成しました。

提出したたたき台には、「選択肢の粒度が揃っていない」という指摘をいただきました。当初は2案を提案しましたが、案1の中にオプションを含めていたため、実質的な選択肢は3つありました。そこで的場が、オプションにしていた案を独立した「案3」として立て直し、3つを同じ土俵に並べる手直しを加えました。これで構造がすっきりし、それぞれを並列に比較できる形になりました。

【図解】手直し前と後での構成変化

気づいたこと

この過程で気がついたことは、次の3点です。

  • 提案の粒度を揃えること
  • 「誰のための資料か」を見誤っていたこと
  • 推し案の選び方

提案の粒度を揃えること

2案+オプションという構成を、3案の形式に整理し直した経験から学びました。

フィードバックの中では、思いついた順に書き出すこと自体は問題ないと教えてもらいました。検討のための材料として出すのであれば、それで構わない。ただ、提案資料として出すのであれば、結論から始めて、何を比較したのかが分かる形に整える必要がある。私の成果物は、そのどちらでもない中途半端な状態でした。

改めて振り返ると、私は各選択肢の中身には目を向けていたものの、全体をどう見せるかまで気が回っていませんでした。思いついた順に並べたまま、提案資料の形式で提出していました。粒度のばらつきは、資料の目的を定義せず作成を始めたことに起因していました。

実際に、独立した3案として横並びに整え直してもらったたたき台は、どれも同じ目線でフラットに見比べられるようになっており、見やすさ・わかりやすさともに別物になったと実感しました。

この粒度のズレには、自分だけでは気づけませんでした。作業側だと、全体の見え方には無自覚になるのだと思います。今後は、内容だけでなく構成面でも、提出前に一度時間を置いて読み直す、許可を得られればAIレビューを挟むなど、距離を置いて見直す習慣をつけていきたいです。

「誰のための資料か」を見誤っていたこと

今回の私の役割は、提案資料を作るにあたっての情報を整理することでした。そのため、顧客に提案するのは的場であり、私ではありません。「相手が選ばないであろうパターンも加えてほしい」という指摘は、検討の土台を広げるための指示でした。

当初私は、的場が後に資料として整えるという前提を忘れており、そのまま顧客に提示することになると思い込んでいました。今回はあくまでも情報を洗い出す役目でしたが、その線引きが曖昧なまま取り組んでしまったことが反省点でした。

日常の中で提案資料のためのたたき台を作成する機会はほぼなかったため、とても勉強になりました。 これはたたき台作成に限ったことではなく、どんな場面でも目的を擦り合わせる必要性を物語っているのだと思います。

推し案の選び方

この経験を機に自身の提案スタイルを振り返ると、別の課題が見えてきました。

これまでも、顧客に選択肢を提案したうえで、自分の推し案を提示していました。それ自体は問題ないのですが、前提として「顧客の決めやすさ」「選びやすさ」を優先し、顧客が「納得して選択する」という視点では考えていませんでした。選択には負担が伴うので、その配慮自体は間違っていなかったと思います。ただ私の場合、その配慮が推し案を選ぶ基準にまで及んでいました。複数の案を出すところは変わらないものの、そのなかから「これなら受け入れてもらいやすいだろう」という理由で折衷案を選びがちだったのです。

自分自身が優柔不断であることもあり、決める負担を実際より重く見積もっていた面もあると思います。ただ、選択への負担の感じ方は相手によって違います。そのふり幅を考慮しないまま、自分の感覚を当てはめてしまっていました。

「顧客が納得して選択できるか」という視点に立つと、必ずしも折衷案が良い案になるとは限りません。推し案を選定する際、無意識のうちに特定の案に寄せる形になってしまい、適切な選択をフォローできていなかったかもしれない。「納得して選択できるか」という視点と、そのための情報量・バランスの調整こそが重要だと学びました。

今後気をつけること

これまで、資料作成やコミュニケーションでは、主語述語の整合性や具体性ばかりに注力していました。今回改めて、全体として読みにくさはないか、比較する対象同士の粒度は適切かといった視点も大事だと学びました。あわせて、今後は資料の目的(検討材料か、最終提案か)と、自身の役割を事前に明確化します。

顧客提案については、推し案を「決めやすいかどうか」ではなく「顧客にとって納得できるかどうか」で選ぶこと。複数案の提示や推し案の明示は継続しますが、その伝え方は顧客の納得感をより重視したものにしていきます。

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