AIとの向き合い方 — 「聞く」から「調べさせる」へ、そして「ツールを探す」時代へ

ChatGPTが登場して以来、急速にAIツールが普及しています。その中で私は東京から和歌山に拠点を移しましたが、和歌山で周りを見渡してもAIツールを使っている人は急速に増えています。地方のファミレスで昼間からおばさんたちが「AIに聞いてみたところ、…」という話をしている時代がこんなに早く来るとは思っていませんでした。

しかし、AIを使い始めたばかりの方を見ていると、「その使い方は微妙だな…(効果が出にくいな)」「その使い方は気をつけた方が良さそうだ」と思うこともあります。

「AIを使うかどうか」で生産性の差は出ます。それ以上に、「AIをうまく活用できるかどうか」による生産性の差が大きいです。様々な方と話す中で、「うまく活用できるかどうか」は「周囲に使っている人がいるか」「周囲と使い方を話す機会があるか」による差が大きく、それは都会と地方の間で差があります。地域格差に関心を持つ私にとって、この「AI活用格差」は気になる新しい課題です。

効果的な使い方を知っているかどうかで、仕事の効率は大きく変わります。特に「AIエージェント」として利用することで、効果的に活用できます。この記事では、私が日々のAI活用の中で実感している「使い方の転換」を二つ紹介します。

「聞く」と「調べさせる」は違う

AIの使い方で、最初に伝えたいことがあります。それは、AIには、「聞く」のではなく「調べさせる」ことが重要だということです。

例えば、あるツールの使い方を知りたいとき、以下の二つは明確に違います。

  • 「○○(ツール名)の使い方を教えて」 — これはAIに聞いています。
  • 「○○(ツール名)の使い方を調べて」 — これはAIに調べさせています。

たった一語の違いです。しかし、AIの挙動は明確に異なります。前者はAIが事前に学習したデータの中から回答を生成します。後者はAIがインターネットから最新の情報を探して回答します。

前者の場合、学習データが古かったり、類似の名前があったりする、とハルシネーション(誤った情報を生成する)が起きます。具体的なことを聞くほど、間違った情報が出てくることが多いです。しかし、後者ならインターネットを検索した上で結果が返ってきますし、参考にしたリンクも確認できます。

ツールの使い方を知りたい際、望ましいのは、AIの学習成果を元にした回答ではなく、最新の公式情報を元にした回答のはずです。別の言い方をすると、「用意されたものを見る」のではなく、「見たいものを用意させる」。これが重要です。この発想の転換が、AIを効果的に使うための第一歩です。

記事を探す時代からツールを探す時代へ

もう一つ、私はAIで探す時代になって、大きく変化したことがあると感じています。それは、「何を探すか」、探す対象自体が変わったことです。

Google検索をよく使っていた頃、私は知りたいことがあればまず検索し、見つからなければ自分で調べて、ブログ記事を書いていました。ブログ記事を書く際、そのタイトルは「自分が検索したときに見つけやすい」ように工夫していました。Google検索を使っていた際、私が探していたのは「記事」でした。

ところが、AIで探す時代になると、私が探すものは変わりました。気づけば私は記事ではなく、「ツール」を探すようになっていました。具体的には、ライブラリ、MCPサーバー、Webサービス、書籍、サービス、製品。特定の目的を達成するための「何か」を探すようになりました。

Google検索では「関連するキーワードを入れて記事を見つける」のが基本でした。AI検索では「目的と種類を入れて、ツールを見つけてもらう」が基本になります。探し方の抽象度が一段上がっています。

すでに面白い体験に遭遇しています。私は「はてなブログ用のMCPサーバーが欲しい」と思い、AIに調べさせたところ、過去の自分が作ったものが出てきました。AI時代になって、過去の自分が書いた記事は参照されないだろうと思っていたのですが、自分が作ったツールがAIから出てくるとは思っていませんでした。

AI活用格差という新しい課題

先ほど、「AI活用格差」という新しい課題について触れました。AIの使い方を知っている人とそうでない人の間で、日々の仕事の効率に大きな差が生まれています。ここで紹介した「聞く」と「調べさせる」のような小さな違いでも、積み重なれば大きな差になります。

この格差は、地域に限った話ではありません。どこにいても、使い方を知っているかどうかで差が出ます。周囲にAIを使いこなしている人がいない環境では、効果的な使い方を知る機会自体が少なくなります。これは「情報流通」の問題と根が同じです。

HeritageArrowでは使い方をつなぐ

最新技術を届けるとき、「こういうツールがあります」と紹介するだけでは不十分です。「こう使うと効果的です」「こう使うと失敗します」という使い方の知識こそが、実際の仕事を変えます。そして、今、AIの使い方の知識が非常に重要になっています。

AIに聞くのではなく調べさせる。AI時代は記事を探すのではなくツールを探す。こうした小さな使い方の転換を具体的に伝えていくことが、HeritageArrowの活動の一つです。

おわりに

AIツールの進歩は速く、使い方のベストプラクティスも日々変わっています。しかし、「聞くのではなく調べさせる」「目的を伝えて手段を見つけてもらう」という基本的な考え方は、ツールが変わっても通用するはずです。

KnowledgeHubにこうした「使い方の知識」を蓄積していくことで、HeritageArrowに関わる人が新しい技術を効果的に活用できる基盤を作っていきたいと考えています。


この記事は、筆者のブログ記事「AIに聞くな、AIに調べさせよ」(2025年6月公開)および「ツールを探す時代」(2026年2月公開)をもとに、KnowledgeHub向けに再構成したものです。

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