AIで知識を再構成する – AIで600件のブログを再構成する
私が2017年から続けてきたブログがあります。非公開の記事(下書き・お蔵入り)も含めれば、その記事の数は600件を超えています。
私が書いてきた記事のほとんどは、私がその当時考えたこと、学んだこと、試したことの記録となっています。ジャンルは技術メモ、読書感想、イベント報告、エッセイなど。それぞれ粒度もバラバラで、自分でも何を書いたか忘れていることも少なくありません。
HeritageArrowの活動を進めていく中で、KnowledgeHubに自分自身の経験を記事として蓄積していくことを考えました。そのとき、自分が過去に書いたものを素材とすることで、ゼロから書くより効率的に記事を作れるのではないか、思いました。私のブログにはすでに自分の考えや経験が言語化されています。あとは、それを読者がよく見やすいように再構成するだけです。
問題は、使える素材を見つけ出し、それを再構成するのに手間がかかる、ということです。ここではAIを活用してその問題を解決したエピソードを紹介します。
MCPでブログとAIをつなぐ
まず、一つ目の解決策として、私ははてなブログ用のMCPサーバーを使いました。
https://blog.mtb-production.info/entry/2025/05/29/200813
MCPサーバーは、AIにツールを接続するための仕組みであり。このサーバーをClaude Codeに接続することで、AI(ClaudeCode)が私のはてなブログの記事一覧を取得し、個別記事を読み、キーワードで検索できるようになります。
ちなみに、この活動を行う際、「はてなブログのMCPサーバーが欲しい」と思い、Claude Codeに「なければ作ろう、あれば使いたい」と調べさせたところ、出てきたのは自分が以前作ったMCPサーバーでした。その話は、以下の記事に記載しています。
https://blog.mtb-production.info/entry/2026/02/11/023206
85記事を精読させ、20本の記事を再構成する
さらに、私は、自分のはてなブログにMCPサーバーで接続したClaudeCodeに指示を出していきます。特にHeritageArrowとして私がやっていきたい活動や価値観に近い活動実績をブログのカテゴリやキーワード検索経由で探していきます。私が探索せずClaudeCodeに過去の記事を探索させます。
この際のスクリーニング基準はClaudeCodeと相談しながら、決定しています。具体的には以下のような基準で記事がスクリーニングされました。
- 具体的な実践知が含まれている記事
- 特定の案件に閉じない汎用性がある記事
- 今読んでも価値が陳腐化していない情報のある記事
- HeritageArrowとしての活動領域との関連が強い記事
- コミュニティで関わる人たちが参照しそうな内容の記事
これにより約85記事の記事が絞り込みされ、それをAIが精読しました。さらに、24件を有望と判定されました。それらの情報を統合・再構成しながら、最終的に20本の記事の下書きが生まれました。
AIが書くのではない、再構成する
重要なのは、「AIに記事を書かせたわけではない」ということです。
AIにやらせたことは、以下です。
- 600件の記事の中から基準に合うものを効率的に見つけ出すこと
- 複数の記事を読み比べて、共通するテーマを発見すること
- 元記事の素材を使って、新しい読者に合わせた構成を提案すること
新しい記事の素材はすべて、私自身の経験に基づいていて、経験する中で考えて、書き記したものです。AIにインターネット上から素材を収集させるのではなく、私が用意した素材の山から、有効な素材を選別させ、整理し、再構成を手伝わせたのみです。
実はこの記事もAIに私の活動を説明するアウトラインを作成させて、そのアウトラインに参考にしながら私が実際の文章を作成しています。最終的な文章は全て私自身が生み出しています。
この区別は非常に重要です。特にKnowledgeHubに掲載する記事は、各著者の実践と思考に価値を見出しています。AIが生成した文章をそのまま掲載することはなく、すべて著者の実践・思考を掲載しています。私はAIを、その実践と思考を、必要な人に届く形に変換する道具とみなしています。
個人の習慣が文化の知識基盤になる
私はこの経験を通じて「日常的にブログを書く」という個人の習慣が、AIの力で「文化の知識基盤」に変換できることを実感しました。
現時点ではまだ全て公開していませんが、これらの記事は、もともと個人のブログ記事を素材としています。その中には日記のような散文もあれば、読書感想も、イベント報告もあります。それらの中から汎用的な知識を抽出し、HeritageArrowの文脈に合わせて再構成することで、共通の文脈で理解できるようになります。
これは、書いて残すことの価値を拡張する話でもあります。ブログに書いたときは「自分の記録」だったものが、AIで再構成されることで「共通の知識」になります。当時、書いた本人すら意図していなかった価値が、後から引き出されることもあるでしょう。
HeritageArrowでは、このアプローチを大切にしていきたいと考えています。各個人の生み出す様々な素材が、AIの力を使うことによって文化を作っていく。そんな活動を続けていきたいと考えています。
この記事は、筆者のブログ記事「はてなブログMCPを作ってみたので、自分のブログを解析させてみた」(2025年5月公開)および「ツールを探す時代」(2026年2月公開)、ならびにknowledge-migrationプロジェクトでの実践をもとに、KnowledgeHub向けに再構成したものです。